トップに戻る
時評・メルマガ書庫
論説・論文アーカイブス
安全保障早わかり2003年度版
推奨リンク集
日本を元気にするご意見募集中
研究所の概要

関肇への取材・講演依頼や、このHPについてのお問い合わせは虎ノ門戦略研究所まで
メルマガの登録・解除
虎ノ門戦略研究所
TEL045−564−53311
■■■ 北方4島と尖閣は違う問題だ 2 ■■■
尖閣ビデオの理解
ビデオを見て中国漁船が巡視艇にぶつかってきており、漁船の犯罪行為が証明されたといった議論がなされている。それは問題の矮小化だ。漁船の領海侵犯とそこでの密漁が日本の国法に触れるのであり、漁船がぶつかってきたのは公務執行妨害だ。ここでの問題は、領海侵犯が尖閣列島を自国領土と主張する中国の漁民だったところにある。例えばフィリピン漁民が密漁した場合とは政治的に異なるのだ。日本の主権が侵害され、中国の主権の主張とどう対決するか,それが基本ではないか。
中国漁船が巡視船にぶつかってきたのは公務執行妨害に過ぎず、それを強調するのは基本を忘れている。中国を利する議論と言えよう。国会の論戦で自民党のエースとされる小泉進次郎議員が「ビデオの公開で、日本は悪くないと証明できることは国益だ。」と言っているいが、これはまさに問題の本質から離れ、領土問題を理解しない典型的議論だ。選良とされる国会議員の尖閣問題理解がこれでよいのだろうか。そして流出を政府の責任として追及する自民党も中国の手先なのか。ビデオの流出が問題とされるが、それより中国の要請により公開を控えた政府の対応が第一に問題なのだ。
また、対外問題については国益を守るという点から与野党の一致が求められるのに、そのような考えが全くないのは日本政治の危機と言えよう。
さて、この三つの領土問題をどう考えるべきか。
第一に、北方領土と竹島は現在ロシアと韓国が実効支配している所であり、尖閣列島は日本の実効支配が危うくなっている所で、現状が固定化していない、日本が褌を締め直さなければならないところだ。
第二に、竹島と尖閣列島は日本の主張は、国際司法裁判所に提訴出来れば国際法的には日本が勝訴するとみてよい所だ。
しかし北方4島の択捉、国後がクリル諸島に入るのか入らないのか。歴史的には日本の主張が正しいが、平和条約にはクリル諸島の定義はない。
それよりもロシアの主張が軍事占領で旧ソ連に帰属したとしている点だ。
もともと歴史上戦争は領土の取り合いだ。中国は、チベットやモンゴルなど戦後に自国領土に組み入れている。
カイロ宣言では大西洋憲章の領土不拡大原則が確認されているが、これが完全に実行されているのかは疑問だし、憲章も宣言も旧ソ連は当事国ではない。戦争で取り上げられたものを抗議で取り返すことが出来ると考えるのは、日本国憲法ボケだ。憲法前文には、「・・・・平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した。・・・・」とあるが、諸国民の公正と信義は、諸国民の数だけあることが忘れられている。
 北方4島を取り返すには、国際法上日本が正しいと主張するだけでなく、国益上ロシアとの関係を如何にするのがよいかの点から考えるべきだ。単なる感情的反発で尖閣問題と同等に扱うことは、尖閣問題の重大さと国民感情の盛り上がりとを薄めることとなる。それはこの問題で中国を助けることになるのだ。
 近く展転社から出版される拙著「役に立たない自衛隊、だからこうする『専守防衛という病』」に書いているが、
中国の膨張主義は今日では異様である。海軍の増強は米海軍さえ懸念している。 
他方ロシアが領土の拡大を求めているとは現時点では考えられず、極東地区等では人口減少とそれに応ずる中国人の浸透を恐れている。安全保障上も中国は脅威だ。またエネルギー消費が拡大する中国と違い、極東ではエネルギー産出国だ。
日本は、安全保障でも経済的にもロシアとは利益が共通する。北方4島を取り返すことは国民的悲願であるが、
戦争で取られたものを取り返すには、法的主張だけではなくそれなりの方法を考えるべきではないか。
韓国との関係を竹島で険悪化させてよいだろうか。韓国との関係悪化は、多くの日本人は望んでいないだろう。
しかし竹島の返還は、島根県だけの問題ではなく日本の領土問題だ。韓国人学者が「竹島は日本に帰属するが、韓国ではそんなことは言えない。」と言ったという記事があった。日本の努力は、韓国人に対するソフトな広報宣伝努力に努めることではないか。歴代韓国大統領はこれ限りと言って日本の謝罪を求め、その度反故にして来た。しかし現大統領の現実主義的態度は、日本との友好関係を大切と考えているように見える。現在の韓国との友好関係は、将来を期待出来るものかもしれない。
北方4島と尖閣列島は、以上述べたように同じ次元で論じるべきでない。尖閣列島は、過去の日本政府の弱腰で現在取られかけている日本の領土だ。日本領土として実効支配することは現代の我々の責務だ。その点を明確に認識しなければならない。実効支配は尖閣列島に自衛隊を配備することだ。そして東・南支那海の中国支配を恐れる米国は、尖閣列島の日本の実効支配に協力的だ。
以上
   虎ノ門戦略研究所理事長   関 肇

時評・書庫へ戻る
            
トップにもどる

ウェブサイト利用規定(必ずお読み下さい)
Copyright Toranomon Strategic Think Tank.All Rights Reserved