

■虎ノ門戦略研究所
TEL045−564−53311 |
|
 |
■■■民主党の危なさ■■■
|
 |
平成21年9月5日
選挙前、私は、自民党が敗れ民主党が勝つが僅差であり、政界再編に進まざるを得なくなることを望んでいた。
しかしこのような民主党の大勝は、政治が安部元首相の否定しようとした
戦後レジーム、60年体制に回帰するのではないかと心配だ。
自民党が敗北したのは当然だ。すでに小泉元首相が最初に勝利したのは、
「自民党をぶっ壊す」という訴えからだった。
野党が頼りなく、自民党しか選択肢がなくとも、有権者はそれほど自民党に嫌気がさしていたのだ。しかし、権力の座に長くあり過ぎた自民党の指導者は、
そのことに気が付かなかった。
自民党は戦後レジーム体制の下で長く政権を維持してきた。その考え方も嫌気がさされている原因の一つでは無いか。
多母神前空幕長の講演に人気があるというのもそれを示している。今後の日本の保守政党は、日本を大切にする保守の思想的立場を明確にしなければ、
立ち直れないのではないか。
民主党は保守政党と思われている。その意味で二大保守政党の対立は、好ましいと思われるかもしれない。しかし民主党は保守政党ではない。
保守的な人もいるが、現在リーダーシップを取っている鳩山氏は、保守といえるのかという人だし、小沢氏は政権を取ることだけの頭の人だ。政治には、国内政治と国際政治の両面があるが、民主党にはこの両面共に危なさがあるのだ。
小沢氏は連合や日教組の組織を大切にして、衆院選を戦って勝利した。
参院選も同じ手法を取るだろう。ということは、その出身者を重要ポストに付けるということだ。
民主党には、社民党に行かなかった旧社会党の残党もいる。特に、日教組出身者が多い。参院の輿石東参院議長は、山梨県教組委員長出身で、今回相当数の日教組出身者が当選した。文教関係の大臣にはならなくとも、副大臣、政務官もあるし、民主党は、多くの政治家が参加して政府をコントロールすることを考えている。彼らが文教政策に関与することとなれば、ようやく排除した日教組教育が復活することになるのではないか。
また、今後重用されるという直島正行政調会長は、労組出身者だ。労組出身者が必ずしも悪いというのではない。しかし国内経済の建て直しは、外需しかない。日本は個人の貯蓄率が高く、それを消費に回す内需拡大が以前から強調されているが、貯蓄が消費に回ったことはない。
鳩山氏はグローバリズムを否定するが、グローバリズムによる外需で潤ったのは日本だ。トヨタの経営が苦しくなったのは、米国市場がおかしくなったからでは
ないか。米国市場が縮小し、現時点では中国を始めとするアジアの市場が期待されるからといって、そこに向かうのもグローバリズムだろう。それが労組出身者で対応出来るのか。
更に、日本の左翼の特徴は、その一国平和主義だ。日本と米国は対等ではないと言われる。対等でない根本は、安全保障において日本は米国に依存し、
しかし米国の安全には日本は寄与しないことにある。内閣法制局のおかしな
憲法解釈がそれを進めてきた。政治はそれを改める方向に進むかと思われたがまた逆戻りするのか。それで、今後オバマ大統領が口先で何と言おうと、本当の対等が築けるのだろうか。
しかも社民党との連立が考えられている。社民党は、自分たちでしか言えないことを言うと、古色蒼然とした旧社会党左派的発想を明確に主張している。
取り敢えずの連立出発では社民党は妥協しても、参院で社民党の票が必要な
時には、強硬なその主張に民主党は妥協しなければならないのではないか。
米国が必要とするのは基地だ。そして米軍の存在が日本の安全に役立っているという構図だ。この問題に党内左派や社民党はどう対応するのか。
米国は相対的に弱まり、中国との関係を大切にし始めている。他方日本は、
尖閣列島や沖ノ鳥島をはじめ、中国との間に領海の問題では緊張関係にある。国際政治でも戦後レジームの発想となれば、日本は引くばかりとなるのでは
ないか。
鳩山氏が何故危ないか。はっきりした理念があるのか。彼の云う友愛は、
グーデンホフの著書にあるフランス革命の自由、平等、博愛の博愛を鳩山一郎が友愛と訳したものという。博愛は、利害対立の調整が必要な国内政治そして自国の利益追求があからさまな国際政治において、どのように具体化されるのか。
彼が選挙中に言った一つは、無宗教の国立追悼施設の建設だ。これを喜んだのは、有権者でなく、歴史観の問題で日本を批難する中国、韓国ではないか。
また、「日本列島は日本人だけのものではない」という発言の異常さは、特定外国人に地方参政権を与えることを考えたものなのか。
オバマ大統領との電話会談で、日米同盟が基軸だと合意したというが、それは、アジア重視とどういう関係にあるのか。鳩山氏の発言をみると、あっちへ行ってはフラフラ、こっちに行ってはフラフラのように見えるが、それで政治ができるのか。
また、対等な日米関係を言うが、対等という主張自体は心地よい。しかし、対等とは、権利、義務が対等でなければならない。権利、義務が対等でなければ、
保護、被保護の関係があるだけだ。日米の安全保障関係は対等ではない。
印度洋での給油は来年1月で止めるという。その代りもっと良い提案をするという。対等となるための良い提案とは何か。少なくとも集団的自衛権が行使出来なければ、対等の提案は出来ない筈だ。
印度洋での給油は、オバマ大統領が重視するアフガニスタン対策に対する協力だ。オバマ大統領は、格好いいことを言うが、実務的という。それは実利が基本
ということだ。日本が役に立たなければ見捨てるということだ。
日本はグローバルな国際関係の中で生存している。その中で、米国との関係がおかしくなることは、中国の袖の下に入ることにしかならないのではないか。
それが日本にとって有利なのか。日本が独立意思を持てないような国家にしてきたのは、戦後レジームなのだ。
民主党の4年間の衆院支配と参院選を考えると、日本の凋落が目前のように
思えて心配でならない。
以上
虎ノ門戦略研究所理事長 関 肇
時評・書庫へ戻る |
|
|
ウェブサイト利用規定(必ずお読み下さい)
Copyright Toranomon Strategic Think Tank.All Rights Reserved
|
|