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■■■日韓新関係への期待■■■
            
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■ 日韓新関係への期待

1 韓国新大統領の画期的発言 
韓国の李明博次期大統領は、当選後初の外国人記者団との会見で、対日関係について「謝罪と反省は求めない」「今後は形式的なことはやめ、実質的に両国にプラスになる外交を進めたい」と述べた。李大統この発言は、歴代大統
領の発言で初めてのことだ。これまでの韓国大統領は選出されると、必ず「これが最後だ」と言っては、日本に謝罪や反省を求め、日本はそれ応える回答をしてきた。このような国際的に異例な(日中間を除けば)両国間のやり取りが、両国の友好促進にいささかでも役立ったとは考えられない。むしろマイナスだっただろう。 
 この李大統領の発言は、正常な日韓関係の始まりを期待させる大変重要なものだ。そして、韓国マスコミの反応には感情的反発があったとの報道はないようだ。そのことも重要だ。
2 国家の関係
 国家間は、国民感情がどうあろうと、政府は形式的にせよ相互に敬意を払っている。その敬意が損なわれれば、政府は遺憾の意を表するものだ。それが主権国家間の関係だ。これまでノ・ムヒョン現大統領は、日本に対して、国際会議等で侮蔑的発言を繰り返してきた。韓国における対日教育は、非難、侮蔑であり、博物館等では、事実に反する反日展示を行ってきた。本来、日本は強く抗議を行い、場合によっては外交関係を断つなどの強い措置を取るのが国際社会の常識だ。日本だけ中国や韓国にたいして、そのような場合も唯々諾々と頭を下げてきた。異常な関係だ。占領後、米国に植え付けられたギルティ・コンプレックスが、一部政治家、マスコミ、文化人達には骨絡みとなっているのだろう。それでは、国家間に正常な友好関係の進展はあり得ない。それが大人の態度などという人があれば、それは逆に相手を対等の国家と看做さない感覚の持ち主だ。
日本人は、友好というと国民個人相互の間も互いに好き合っていなければならないように思っているのではないか。日本は、外国に占領されたのは、大東亜戦争後が歴史上初めてで、しかも占領後、親米が大きな流れになった。徳川三百年、外国との付き合いは極めて限られてきた。これに反し、世界の国々は、互いに戦い、支配し或いは支配されてきた。それが通常の歴史だ。
国民感情として隣の国と仲良いのは異例と考えてよい。イギリスとフランス、フランスとドイツ、国民感情を一般的に見れば、時代にもよるが、決して良いとはいえない。イギリス人はフランス人をアル中と呼びフランス人はイギリス人を蛙と呼ぶ(食事でもワインでなく水を飲むから)。
ように第二次大戦後、当然ながら、フランス人はドイツ人が大嫌いだった。しかしソ連の脅威に対抗するためには、両国の友好関係が必要だった。ドイツの再軍備を認め、両国の友好関係を進めたのはド・ゴールの決断だ。EUの今日があるのも、その時、国民感情の尊重より両国国家間の友好関係を選択した両国首脳の決断があるのだ。それは国民感情が友好に向けて進むのにも役立った。 
李新大統領の発言は、日本側の適切な対応により、将来、両国民が互いに敬して付き合えるようになる端緒になるのでなないか。
3 韓、中の反日と歴史に対する意識
アジアの国々で反日は、韓半島と中国だけだ。アジア諸国が反日だという発言もあるが、それが誤りであることは今更言うまでもない。中国の反日と韓国の反日は性質が違うが、両国とも国民の反日感情を増幅させる施策を進めてきた。それでいて日本との友好関係が口にされ、日本政府が唯々諾々とそれに従って来たのは、日本政府が誇りを失っているからだ。
そもそも若い人には、歴史は教えなければ分らない。何かで読んだ話だが、駅で高校生が話していた。片方が「日本は米国と戦ったそうだね」と言うと、相手は「え、マジ?(本当?)それでどっちが勝ったの?」と言ったという。日本も近代史教育についてはこんな状況だが、反日も教えて身につくのだ。
アジア、アフリカの国々は、西欧の植民地となった。独立に戦った志士の話には同感を感ぜざるを得ない。韓鮮半島の人々の気持ちには、併合(植民地化とは法的意味は違う)したのが日本だし、特に同情する。
日露戦争後、孫文など「日本は西欧帝国主義と同じになってしまった」と言うようになった。韓国との関係も、当時の経緯からも他にも方法はあったのではないかとも思う。しかし過去は変えられない。また、韓国は、独立が自ら闘いとったのであったら、その後の日本に対する感情も違っていたかもしれない。
彼らの気持ちには同情せざるを得ないが、といって、私は日本の過去を謝罪する気にはなれない。それは我々の先祖を辱めることだ。世界の歴史は支配、被支配の歴史だ。将来は我々が築くものだが、過去は変えられない。過去を非難し、非難を受けいれよとの主張は、将来に対して相互に敬意を持つことを否定することだ。かつての植民国家は、植民地に対して謝罪していない。歴史を否定することは自国の歴史を否定することだからだ。
ドイツは謝罪したが、日本は謝罪しないという人がある。それは間違いだ。戦後、ドイツはナチとドイツを別のものとして整理した。しかしそれは詭弁だ。ナチは、民主的ワイマール憲法の下で、ドイツ人の意思で議会の多数党となり、議決で独裁権を成立させたのだ。ナチはドイツと別のものではない。
4 今後の極東国際関係の変化
冷戦終結後も朝鮮半島、中国、日本の国際関係は、米国による安全保障体制の下で、基本的に変わらなかった。政治は無かったのだ。経済だけが特別な発展をした。しかし北朝鮮の問題と中。国の今後は、今までと違った枠組みの中で自ら取り組む必要が生ずる、すなわち政治が必要となる。それは今よりも不安定となりそうだ。その中で、日韓関係の基本的あり方が両国にとって大きな意味を持つだろう。
北朝鮮については、現在、核と拉致が問題となっている。北の核保有を韓国がどう考えるかは、日、米のみならず、中国、ロシアにとっても重大な問題だ。拉致については、韓国の被害者は、日本より多いが、ノ・ムヒョン政権の下で、北に対して強い立場をとってこなかった。しかし新政権の下で、拉致の問題は、主権侵害として日本の立場に近くなるのではなかろうか。
これまで六カ国協議では、日本が頼りにできるのは米国だけだった。しかし日本が韓国と共通の立場を取ることが出来れば、日本としては六カ国協議が意味ある場となるように思える。韓国としても、ノ・ムヒョン政権とは立場が変わるなら、日本との協調は力となろう。米国は、以前は北との二カ国間協議はしないと言っていたが、最近二国間協議に進み始めた。核で妥協が出来れば、拉致問題は日本だけの問題として横を向きそうな気配も出てきている。韓国との協力が出来れば、日本にとっても北に対する梃となる。
 それだけではない。近い将来、金正日政権の崩壊が現実の問題となるかもしれない。北の核をどこが抑えるのか大きな問題だが、更に、崩壊した北朝鮮をどうするのかだ。中国が恐れているのは、多数の難民の流入だ。中国は軍隊を動かすだろうが、それはどこまでのものか。米国には、中国は北朝鮮を支配下に置くという意見もある。しかし中国は、それは望まないだろう。中国の経済的地域格差は内政上大問題の一つだ。北の併合は、大きな地域的格差を更に一つ作ることになる。また、政治的にも困難な問題が生じる北朝鮮の編入を現在の中国が望むとも思えない。中国はGDPが増大しているからといって、北をどれだけ経済支援が出来るだろうか。
 韓国が統一するのが当然だが、韓国の北との統一コストはどのくらいになるのか。韓国や米、英等には、色々な試算がある。その試算の間には、2〜3倍の差が有るが、一つには、古い数字だが、2000年10月の米ウオールストリート・ジャーナルは、世銀などの国際機関の試算として、韓国のGDPの5、6倍との推定を載せている。韓国一国では困難な問題だろう。
日本に大きな支援が求められるだろう。しかし、韓国が、ノ・ムヒョン現大統領のような指導者の下で、国の政策は反日であり、国民感情も反日の国であるなら、支援に何の意味があるのか。半島に現在よりも強力な反日国家を作るために、日本が支援をすることではないか。支援により反日が収まるなどというのは、とんでもない思い違いだ。日本は、中国にどれだけの経済支援をしてきたか。決して反日は軽減していない。反日は政府の政策だからだ。
また、北朝鮮に接する中国領内には、百万人を大きく越える朝鮮人居住地域がある。北の体制下では、その地域の朝鮮返還など問題にならなかった。またそれらの人々の生活も中国の下にある方が豊かだったろう。しかし韓国が北を統一したらどうなるか。今日グローバル化も一つの方向だが、民族自決は、第一次大戦後から今日まで続く大きな潮流だ。韓国にとっては、その地域の韓国との一体化は、民族的要求となるのではないか。民主主義国では、そのような要求を政治が抑えるのは難しい。中国との関係が、緊張するかもしれない。
また中国は今後どうなっていくのか。共産中国の歴史は、チベットへの侵略、ソ連、ベトナム、インドなどとの武力紛争など、周辺国に対する武力行使の歴史だ。日本の尖閣列島も中国は一方的に国内法で中国の領土としている。両国中間線でのガス田開発の交渉で、中国は日本側の発言に対し、軍艦を出すとしばしば発言したとの報道がある。彼らの感覚は自由主義諸国間のものとは全く違っている。今後、米国の意向次第で、中国が日本に対してどう出るか分らない。日本と韓国は民主主義国で中国は共産主義国だ。この体制の違いは大きい。中国に対して共同歩調がとれることは、政治問題は勿論、経済問題についても両国にとって大きな意味を持つのではなかろうか。
韓国の李次期大統領の発言、日本に対して「未来志向的に」、「今後は形式的なことはやめ、実質的に両国にプラスになる外交を進めたい」ということは、国家として感情的反日政策を止める方向ということだろう。この発言は、大変重要だ。
日本は、この発現の意味を受け止め、しっかりした対応をしなければならない。重要と受け止めない人は、これまでなされてきた国家に対する侮辱を侮辱と感じない人だ。日本人も個人に対する侮辱には反発するだろう。しかし国家に対する侮辱を侮辱と感じない人は、国家に対する誇りを失っているのだ。それは、占領軍が日本人洗脳の目的の一つだった。日本人に植え込まれたギルティ・コンプレックスはその為の方策だった。
日本も経済規模の大きさに安住するだけでなく、国家としてしっかりしなければならない。日本国家に対する誇りを持たないように見える政治家達が、早速訪韓したようだ。このような人達が、今までの人的繋がりだけを基に日韓友好を口にしても、日韓関係の新たな出発は出来るのだろうか。
以上
虎ノ門戦略研究所理事長 関 肇


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