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■■■小池防衛相の暴走と官僚の見識(その2)■■■
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平成19年8月22日
安倍政権は8月27日内閣改造を行って新しい大臣により次官以下の人事を行なうと伝えられているが、17日に塩崎官房長官以下の人事検討会議が急遽開かれ、次官以下の人事が決定された。小池大臣と守屋次官の確執として連日マスコミが面白おかしく、又もっともらしく大騒ぎしたためだろう。
それにしてもマスコミの報道は恐ろしい。何も知らない人は報道をそのまま信じてしまう。私は官庁についての知識があったから、前回のコラムで私の見解を書いた。しかし、守屋次官は「官邸を頻繁に訪問。政府高官らに陳情を展開・・・」とか、「上司である小池百合子防衛相を飛び越え、上司の上司である安倍晋三首相にまで自らの人事に関する『陳情』を行なうのは、民間企業ではありえない行為だ。事務方のトップとはいえ、明らかに役人としての度を超えている」、とか書かれているのを読むと、私も次官が安倍総理に人事の件で会ったのだろうと思ってしまった。守屋次官は官僚としての筋は通してきた男だし、自分のために総理に会う筈はないと思ったので、官庁のルールを守るために行ったのだろうと前回のコラムで書いた。
しかし8月6日以降、守屋次官が首相と人事の話で会ったことはなかった。8月13日約一時間首相と会っているが、それは首相がインドを訪問するに当たりインド国防政策について説明のためだ。情報本部長その他の数名を帯同して行ったのである。そして帯同した者達と共に退出した。情報本部長等の面前で人事の話をすることはあり得ない。そして待ち構えていた報道陣に人事の話をしたかと聞かれ、「していない」と答えている。
また、人事を早めるために官房副長官から防衛庁の人事案が求められ、手続き通り次官が持参して往来した。それは自分の陳情ではない。にもかかわらず一部マスコミは、殊更先に引用したような報道をした。そしてその誤解は政治家にまで及んでいる。
小池防衛相の西川次官案が塩崎官房長官に拒否されたのは、人事検討会議に諮られなかったからだ。官房長官と三人の副長官は、「守屋退任は規定路線だから反対はしないが、人事検討会議と調整しないやり方は、政治主導のために会議を作った経緯を無視するものだ」と反発したという。小池案が拒否されたのが政治主導に反する官僚主導だと一部マスコミは報道しているが、これは人事検討会議メンバーの意見の方が正論だろう。政治主導とは一大臣の恣意を言うのではあるまい。更に人事検討会議に諮られる前に人事案が表に出た場合には、案は差し替えられることになっている。ところが小池大臣は、人事検討会議を飛び越えて、8月6日の外13日にも安倍総理と会っている。安倍総理に可愛がられているとの自信が高じて、内閣の手続きを無視するようでは閣僚の資格はない。これらの経緯をみると、小池対守屋というマスコミの大騒ぎは伝え方が間違っており、人事検討会議と小池の対立というべきだろう。
小池大臣の西川次官案には守屋次官が反対した。それは、西川官房長が小池大臣に言われて次官に相談せず人事案を作成したからだ。西川官房長は大臣に口を封じられていたとしても、「大臣に命じられたがどうしましょうか」と次官に相談すべきだった。そうすればこんな大問題にもならず、彼が次官になったかもしれない。しかし、そうしなかった。ある部外者が私に言った言葉だが、クーデターと言われても仕方が無い。まさに官庁のルールに反するものだ。官庁のルールに反することが行なわれては官庁自体が崩壊する。一番問題なのは、小池大臣は次官と会おうと思えば幾らでも機会が作れたのにそれをせず、携帯が繋がらなかったなどと言っていることだ。
ポッピュリズムの時代では衆・参議員に当選するのは、マスコミで名の売れた、そしてマスコミ対応が上手な人達が多くなる。それは大衆民主主義の一つの側面だが、その人達が大臣になり自分の人気を背景に恣意を通すようなるとどうなるだろうか。大臣に媚を売るような空気が生まれれば、組織はどうなるだろう。守屋次官の主張は官庁のルールを守ろうとしたことにある。森元首相が「守屋さんはかなり以前から辞任する気持ちでいた。それを『辞めなさいよ』と言うのは、切腹しようとしている者に刀できりつけたようなもので、武士の嗜みがない感じがする」と言ったと伝えられる。守屋次官はやるべきことをしたと思うが、辞める直前に一部マスコミからありもしない悪口三昧を書かれるとは、OBとしても大変気の毒な気がする。
(以上)
虎ノ門戦略研究所理事長 関 肇
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