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■■■慰安婦問題の責任■■■
平成19年3月21日

1.問題の発端 
 米下院に従軍慰安婦問題に関する決議案が提出されている。この決議案は「日本軍は合計20万人ものアジア各国の女性を強制的に徴用しセックス奴隷としたが、戦後の日本はその非を認めていないためいまの日本政府に明確な謝罪の表明を求める」という趣旨だそうだ。この決議案を提出したのはこれまでも度々日本の戦争責任を追及してきたマイク・ホンダという日系3世議員で、全米の反日中国系団体からの献金が際立って多いと報道されている。
 戦地における性の問題は歴史の始まった時からの深刻な問題で、世界の各国は口を拭うことは出来ない。例えば米軍の日本占領後、ミズーリ艦上の降伏調印式以前から米海軍水兵の婦女暴行事件が報道され、以後連日のように米兵の非行が報じられた。三業地から拉致された少女の下働きが27人の米兵により輪姦された時はさすがに米陸軍と海兵隊の当局者も事実無根を声明せざるを得なかったという。これ等の報道が世界に流されたのは戦前の同盟通信が世界にまたがる通信網を有していたからであり、そしてポツダム宣言は言論の自由を保障し、又ポツダム宣言から無条件降伏したのは全日本軍隊のみであり、政府と国民は同宣言の降伏条件を受諾して降伏したのであって連合国と日本との関係は対等で双務的であり、それは同宣言と降伏文書により保障されているとわが国言論人は信じたからだ。その後9月に米軍は同盟通社の一切の機能を中止させ言論の検閲が始まるのである(江藤淳「閉ざされた言語空間」より)。
 米兵の性の問題は家庭の婦女を守るため、敗北後の日本政府が表に出せないが早急に手を打たねばならない大きな問題だった(検閲は日本人を洗脳するためにおこなわれたのであり、婦女暴行を隠すためでなはない)。これに比べると、進撃するナポレオン軍の後を業者がかき集めた娼婦を満載した馬車が追っかけていた話などは牧歌的ともいえよう。
 大東亜戦争中日本軍が駐留した国々には慰安婦の施設があった。しかし、それは軍が設置したものではない。例外があるかもしれないがそれは業者によるものである。業者には朝鮮半島出身者も多かったといわれる。軍が心配していたのは性の乱れからする軍紀の違反であり、また衛生的問題、兵の性病感染であってコンドームを兵に配付したりしていた。業者の存在は軍にとって好都合だったのは事実だろう。
 日本には売春禁止法がある。西欧諸国では売春が管理はされているが禁止はされていない国も多い。慰安婦問題は恥部のようなものだが、特に戦地におけるこの種問題を国際問題として取り上げるのは本来ためらわれるものだろう。今問題となっている従軍慰安婦問題は河野談話に始まるが、事実に反する前提で作られており、安倍総理は以前から見直しを示唆してきた。

2.対米外交問題となった慰安婦問題
 安倍総理は国の名誉の問題として国会や記者会見で河野談話の見直しを示唆してきた。総理訪米もあって米下院の従軍慰安婦決議案は大きな問題となり始めた。総理の姿勢が問題とされ、国内では民主党など国会で総理批判の質問がされ、中国、韓国では強い非難が表明されるようになった。さらに米国でもシーファー米大使などは「河野談話から後退すれば米国内で破壊的な影響を与える」と憂慮を表明したという。また、ホンダ議員による決議に反対の議員も河野談話見直しに当惑し、賛成の立場に変わったとも報道されている。  
 中国、韓国にとって元々事実が何であるかなどは問題ではない。日本を貶めることが彼らの利益なのだ。しかし米国でこの問題で反日的報道が広まるようだと日本としては問題だ。ニューヨーク・タイムズなど米国のリベラル派のマスコミはもともと親中、反日の傾向がある。米国で北鮮の拉致問題が日本国家の慰安婦関与と対比されたりしたら大変だ。軍の慰安婦強制は事実に反するのだから。そして拉致問題は日本が米国の助力なく頑張っても北への影響力はない。日本はそんな国になってしまっているのだ。そのうえ中国、ロシア本来拉致問題にたいして日本に同情的ではない。
 米国の状況をみて安倍総理は、河野談話を踏襲するとしたようだ。

3.河野談話
 河野談話は宮沢内閣の末期の平成5年、当時の河野洋平官房長官が出したもので、「慰安所の設置、管理および慰安婦の移送は旧日本軍が直接、間接に関与した。慰安婦の募集は軍の要請を受けた業者が主としてこれにあたったが、甘言、強圧によるなど本人たち意思に反して集められた事例が数多くあり、官憲等が直接これに加担したこともあった」というものだ。そして韓国などにより日本政府が正式に慰安婦の強制連行を認めたと宣伝された。
 この内容について河野氏自身も自民党の若手議員の会で「強制連行されたものかについては文書、書類では証拠はなかった」と述べているという。また平成9年平林内政外交政策審議室長は参院予算委で「個々の証言を裏付ける調査は行なっていない」と答弁している。
 この問題を事務方で中心となって取りまとめたのは当時の石原信雄内閣官房副長官だ。韓国に行き数人の元慰安婦だったという老婦人の聞き取り調査を行なったが、聞き取りだけでその信憑性を裏付ける調査は行なえなかったという。そして、韓国側は老慰安婦の面子の問題として談話に慰安婦募集の強制性を盛り込むよう執拗に働きかける一方、「慰安婦の名誉の問題であり、個人補償は要求しない」と非公式に打診していたという。石原氏はその後、「韓国の要求を認めないと韓国側はおさまらないと思い、韓国の要求を呑めば韓国も問題を収拾すると思って韓国の要求に従った」とマスコミで述べていたのを読み、驚いた記憶が強くある。
 そしてホンダ議員など強制連行はなかったと日本側が説明しても、それでは何故、河野談話が発表されているのかと反論するという。河野談話は日本政府の公式見解なのだ。
 加えて日本政府はアジア女性基金(村山富市理事長)を作った。これは元慰安婦への償い事業として始められたもので、国民から集めた浄財約5億円、人件費や事務経費は国費で合計約50億円を使って最近ようやく解散となった。恥の上塗りだ。

4.談話作成の責任をどうするか。
 河野談話の見直しが図られるという。それは結構なことだが、見直しが図られ事実に基づいた修正が発表されても国際的に広がった現談話の影響は無くならないかもしれない。見直しの談話はナショナリステックな現政権による捏造と宣伝されるかもしれない。反日の政治的立場の人は真実を知ることを求めているのではない。また、政府談話などその時の政府が都合の良い発表をすることはよくあることだ。 政治は結果が全てというが日本国家にこのように大きい影響をもたらした河野談話は作成者に責任はないのか。昔なら切腹ものだ。
 それにしても、韓国がおさまらないから韓国の言うことに妥協し、こちらの腹も理解してもらえると期待する心理はどういうものか。日本人の特異な行動様式としてこのような対人関係での振舞が(現代では異例とも思えるが)時にはあるかもしれない。しかしこの問題は名誉の問題だ。日本人の行動様式にあっても、名誉の問題では昔はこのようには振舞わなかったのではないか。石原氏を初めこれに関わった人は自分の名誉の問題でこのような形の妥協をするのだろうか。しかもこれは国家間の問題だ。国の名誉が係っている問題だ。国家を代表して外国と交渉する人が国家の名誉の問題でこのような妥協をする。国家をどう思っているのか。国家の名誉を何とも思わないのは植民地の人の考え方だ。日本を代表して交渉する人々がこんなものなのか。
 韓国はこれまで大統領が新しくなる度、来日すると日本の謝罪を求め、これが最後だとした。しかしそれが守られたことは無い。それを知っている筈の人が韓国の言うことを信用するのも信じられないことだ。この問題の経緯からして慰安婦問題で日本を非難し続ける韓国は「信」の無い国だが、それは韓国の問題だ。それを考えない日本の方が悪いのだろう。
談話の修正も大切だが、同時に談話を作った人が当時の事情を説明し、韓国に媚びてこのような談話を作るに到ったことを日本国民に謝罪し、世界にそれを公表すべきだ。「韓国がおさまらないと思ったから」というのは日本的発想であっても、まさに媚びていることだ。それによって談話の修正も国際的に受け入れられるのではなかろうか。
 談話の河野現衆院議長はかつて中国に行った時、天候の悪化で台湾に不時着しなければならなくなった。台湾政府は天候の回復するまで空港内でも休んだらと好意から申し出たが、河野氏は航空機から出なかった。中国に着いてから彼は中国側に台湾の領土には立ち入りませんでしたと言ったそうだ。中国側から、「いい子だ、いい子だ。よく頑張ったね」と言われたかどうかは知らないが。
前小泉首相の靖国参拝では衆議院議長でありながら元総理連中を集めて参拝反対を申し込んでおり、立法府の長が行政府の長にそんな申し入れをするのは問題だ、と言われた人だ。日本国家ということが頭にあるのかどうか分からない可笑しな人だが自民党を代表して衆院議長だ。保守政党と言いながら自民党は国家や思想のない政党なのだろう。
 この慰安婦問題で実質的な判断をしたのは当時の事務方の長だろう。河野氏にそのような判断能力があるとは思えない。当時の石原官房副長官は「韓国の言うことを聞かないと韓国はおさまらないだろうと思った」とも言っている。これは自分の判断があったことを示している。石原氏は現在でも政府の委員会などで働いているが、彼に日本人としての自覚があるなら責任をとって説明をし、切腹は無理だろうから社会から身を引くとか、出家するとかすべきではないか。日本の政治家、公務員は責任を取らないと言われている。公務員全般に責任を取らせるのは問題があるが、少なくともトップにあった人は責任を取るべきだ。この問題を追及する政治家は責任の追及を忘れてはならない。

(以上)

虎ノ門戦略研究所理事長   関 肇

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