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■■■対中・韓関係は悪化したか(その2)■■■

平成17年11月24日

1. 中国について (続2)
 中国はグローバルな経済発展をしている。経済発展のためには他国との良好な関係が重要である。その意味で日本との関係だけが重要なわけではないが、他の諸国は純経済面で日本ほどの投資をしていないだけでなく、日本程甘くない。例えば、中国は米国との良好な関係がなければ今後の発展は望めないが、米国は関係が深くなればなるほど中国の言うとおりにはならない。企業会計の透明性など米国の基準を要求するし、また市場で中国政府がアンフェアと思えば、米政府は厳しく抗議し、中国が応じなければ対抗措置を取る。そのうえ米国は中国における政治の民主主義を要求したりする。けっして中国の思い通りにはならない。
 一方、日本は中国から政治的要求をされることはあっても、日本から政治的要求をすることはない。日本はアンフェアな取り扱いを受けても、政府は厳しい態度は取らない。これまで何度か中国ブームがあったが、進出した日本企業の多くが損失を出して撤退した。地方政府の勝手な法令改正やパートナーの一方的条件変更による損失が多かったためだ。それに対して日本政府が効果的対応をしたことは殆ど無かった。
 不当な扱いを受けても、日本政府の対応はせいぜい顔の利く人がしゃしゃり出て有耶無耶のうちにことを収めるのが通例で、政府としての外交的対応はしてこなかった。近代国家が共有するモラルが未発達で、利益さえ上げればよいという風潮の中国からみればこれほど勝手に振舞える相手国はないのではなかろうか。その最大の原因は日本人の心構えにある。

 自民党の某議員は、たしか外相の時だったと思うが中国に赴く際に嵐で飛行機が台湾空港に緊急着陸した。待避中、空港内の施設で休憩することを薦められたが、それを拒否して飛行機内にとどまった。そして中国に到着した際、「自分は台湾国内に入らなかった」と誇らしげに中国政府に申しのべたいうのは有名な話だ。こんな発想をする頭脳構造が理解できないが、この議員は現在も国会の最高ポストを占めており、小泉首相に靖国参拝取りやめを勧告した。
 官僚も同じだ。一昨年だったか、日本が供与するODAの取り決めに、日・中両外相が会見してサインすることになっていた。ところが、靖国問題があって中国外相が日本政府に腹を立て会見を取りやめたため、サインが貰えなくなった。日本外務省の官僚はそれに対して、持ち回り(当事者が都合の良い場所でサインする非常手段)で中国側のサインを貰い、ODAを供与することが出できた。外務官僚からすれば知恵を出したつもりかもしれないが、貰う側の中国の鼻息を伺ってサインを「頂き」、ODAを「供与させて頂いた」外交行為は不見識極まりなく、信じられないような話である。

 中国政府にとって日本は鼻面を取って引き回せる太った商人に過ぎないのだ。それがようやく日本も思い通りにはならなくなったと感じてきたのだろうか。中国にも大局的にものを見る指導者が居て、日本とのこれ以上の関係悪化を恐れ、態度が変わり始めたということなのか。
 中国が世界経済に参入すればするほど、日本一国との関係悪化が他国からの信頼を失うことにつながる。かつてソ連でのオリンピックに米国を中心とする西欧諸国の不参加があったように、オリンピックの成功も中国の政治的動静に係っている。日本国内に広がる嫌中ムードも彼らからすると心配の種だろう。わが国が民主主義国だからだ。
 一部の人が主張する「わが国は中国に合わせることがわが国の利益である」とする錯覚から開放されなければならない。 

(つづく)

虎ノ門戦略研究所理事長   関 肇

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