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■■中・韓両国の反日と日本 (2)■

平成17年4月30日
 
 2 中国政府の本心と中国の現状

 前号で、靖国と歴史認識は絶対に妥協してはならないと書いた。日本人はナイーブで中国の表面的主張にそのまま反応するだけでなく、中国のお先棒かつぎでない人までが、まず妥協することを主張するからだ。一方、靖国と歴史認識をいまさらのように持ち出してくる中国政府の本心は何か。日本人の反応を期待して別の本心があると考えられるのだ。

 中国政府がデモを発生させた理由は、日本の国連常任理事国入り反対である。何故日本の常任理事国入りに反対するのか。それは、日本がアジアで政治大国化することに中国は反対なのだ。中国は経済の発展と兵力の増強を背景に、実質的にアジアの政治大国になろうとしている。アジアで政治大国として覇権を唱えるためには、中国に対抗する政治大国がアジアにあってはならない。日本は常任理事国入りを目指すのみならず憲法改正、特に憲法9条の改正は国民多数の意思となってきた。これを中国側に立つと日本が政治大国の道を進もうとしていると見え、中国はこれに反対しているのだ。

 日本の常任理事国入り反対には反対の理由がいる。中国国民は何も知らないが、日本は戦後あらゆる面で中国を支援してきた。中国としては、国際常識に反してでも、常任理事国入り反対の理由に歴史認識をとりあげる以外にないのだろう。歴史認識など実利中心の中国にとって本当はどうでもいいことなのだ。反省を行為をもって示せとは、常任理事国入りを自分のほうから取りやめろということなのだ。
 歴史認識については、日本側に中国の主張に同調するマスコミや有名人がいる。日本政府も、本心はどうかわからないが悪かったという態度をとる。中国はここが日本の弱い脇腹と考え、丁度よい攻撃目標とすることにより、日本から実利を得るとともに日本の大国化を防げると思っているのだ。日本の常任理事国入り反対が中国の本心だから、わが国が歴史認識にどう妥協するかには関係なく、常任理事国入りを止めるまで攻撃は続くと思える。

 中国は、現在人口の3%超が中国全資産の70%を保有して超リッチなエリート層を形成しており、人口の30%が中間都市層で資産の25%を保有している。人口の残り約67%は農民と都市の下層労働者で、全資産の5%を保有しているに過ぎないという。この人々は収入が1日1ドル以下の生活者である。

 江沢民の10年は共産党による国家の大変な収奪の過程だったという。ソ連のゴルバチョフのペレストロイカは、共産党の終焉を招いた。それを見た登小平は天安門事件で妥協しようとした趙紫陽を廃し、江沢民を選んだという。その結果が一部富裕層と悲惨な大衆の分離である。大衆による何万人のデモやストが昨年は五万件に及んでいるという。日本との関係をいうと、彼らは日本のことなど知らない。知っているとすれば、最近地方都市にも乱立しているという日本企業の広告ぐらいだ。ただ、教育を受けている層は学校教育、社会教育課程で江沢民の徹底的な反日教育のおかげで強烈な反日となっている。
 江沢民は共産党のエリート出身ではない。一方、胡錦涛は共産党のエリートを作る集団、青年共産党同盟団の出身であり、主席就任後、地方幹部を中国共産主義青年団の出身者に置き換えることを進めているという。これが今後何を意味するのか。政府がデモの行き過ぎを抑えようとして最初に働きかけたのは中国共産主義青年団である。

 今行われている反日デモは、政府による御用デモとしてスタートした。それが拡大し暴徒化し、政府は収拾しようと躍起になった。胡錦涛は江沢民時代より政治的自由を締め付けている。経済的にある程度豊かになれば、人は政治的自由を求めるようになる。今回のデモは官製デモで始まったが、それがどう変わったのか、これからどうなるのか、共産党反対までは進まないと思うが、憤懣の捌け口として反日がさらに進むかもしれない。政府は抑えようとして必死であり、今のところ一応成功するだろう。それが将来どうなるのか。抑えられなくて反日が進む場合、それは日本が中国政府にどの様に妥協しようと抑えることは出来ない中国の国内問題である。ただ排日による不買運動や暴力事件が起きるかもしれない。わが国は冷静にわが国の利益が損なわれないよう対処すべきであろう。

 むしろわが国の政治家や国民が考えるべき最も大切なことは、日本は政治大国となるべきかということだ。経済大国でありながら政治大国ではないという日本の姿は世界史のなかでは異常なものだった。
 政治大国となるには条件がある。まず、日本自体の安全保障について米国依存から出来るだけ脱却することだ。経済的には可能なのだから、その上での同盟を構築すべきである。それだけではない。日本以外の安全保障にも責任を持たなければならない。特に安保理に入るためには、核を持たない以上安全保障能力には限りがあるが、一国平和主義は成り立たない。日本人にそれだけの覚悟があるのだろうか。

 また、日本の最大の問題は、強力な反日日本人の存在だ。彼らは表立って左翼的行動は取らないが、教科書検定の最中に内容を国内ばかりか韓国にまで漏らす検定員さえ居る始末だ。マスコミも含めてこれ等の人々の日本弱体化の運動に今の政治家は耐えられるのだろうか。
 政治家も含めて、まだまだ日本人は国際感覚に乏しい。中国の発言をそのまま受け入れるなどもその例だ。武力行使についての感覚もない。だから政治大国となるにしても他の政治大国と違った存在となる方向を目指すべきかもしれない。

虎ノ門戦略研究所理事長   関 肇

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