

■虎ノ門戦略研究所
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■■■有事3法の成立(2)■■■
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平成15年6月16日
有事3法は与党と民主、自由の両野党との合意の下で成立した。このように与野党合意下で成立したことの意義は大きいのだろうか。それは、次のステップに進む一里塚となるかどうか次第だ。
まず、理念という点から見よう。
自民党は民主党の要求に従い、憲法の基本的人権に関する条項の順守を武力攻撃事態法に挿入した。憲法は国の根本法規だ。その条項を下位の法上に記載するのは、法の形式的あり方としておかしい気がするが、ここで問題としたいのはそんなことではない。
基本的人権が国民に保障されるのは、ただ国家のみによるのであって、国際社会が保障してくれるわけではない。まして侵略国は、相手国の国民の基本的人権を侵害するだけで、守ることはありえない。人権を保障している国家が、他国から侵略を受け、それに対抗するための手段を試みているときに、国民の人権を保障することで対抗手段を妨害するのは、本末転倒ではなかろうか。
これは、平時と有事との差を理解していないことから来るものだ。平時と有事とは状況が全く異なる。人権の順守はむろん大切だ。しかしそれは平時にできることであって
、有事は人権も最小限しか守れない。なるべく早く平和を回復し、人権を順守できる状態に戻ることが大切なのだ。有事に人権侵害の行き過ぎがあれば、平和を取り戻したときに、改めてその補償はなされねばならない。
日本国憲法には有事の規定はない。しかし自衛権が認められている以上、有事における合理的な基本的人権の制約は、自衛権の国内向け発動と言えるだろう。
有事には、敵は侵略を成功させるために何でもありでやってくる。国土の防衛は、国土、国民を守るのだから必然的に制約がある。その制約をいかに少なくするかが問題だ。
また、侵略がどんな形をとるか、安易には予測できない。勝つためにあらゆる知恵を絞り、相手を出し抜くのが戦争だ。科学技術の発展による新兵器もある。今回のイラク戦争で、米軍の新戦略による部隊編成が、短期間で勝利をおさめることができた決定的要因だった。また、米軍は半年以上も前から特殊戦部隊をイラクに潜入させていたという報道もある。
わが国の場合、国内に潜む外国の工作員やシンパが、マスコミ等を利用するような、思いがけないことが起きるかもしれない。単純に、武力による正面からの侵略だけを考えればよいのではない。
民主党の主張は平時と有事との本質的な違いを認識しないものだ。
平時と有事の本質的違いを理解しないのは、理論においても感覚においても、今日の日本の精神世界における最大の問題だ。平和ボケとはまさにこのことである。
この違いは、理念上は決定的なものだ。ゆえに、今回の与野党の合意は、実は野合に過ぎず、次のステップに進む礎石とはならないことになる。
ただ、政治的動きとしては、別の見方もできる。
村山内閣が誕生したとき、社会党は、安全保障にまつわるそれまでの方針を変更したにもかかわらず、党としての総括をしなかった。理論政党のはずの社会党ですらそうだった。それは末端の活動家に混乱をもたらした。
しかし、村山内閣の誕生は日本の政界にとっては激震で、その後の政界の動きに大きな影響を及ぼした。政治は勢いである。また、自民党だって平和ボケがないとは言えない。理念があまり問題にならない日本的状況からすると、安保問題で与野党が合意したことは、大きな意味をもつことになるかもしれない。
安保問題で与党と大きな野党との間に決定的違いがあるのは、国家にとって基本的欠陥である。そういう視点から見ると、これからどうなるか。イラク新法が一つの目安となるであろう。
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