メルマガ原稿211 日米首脳会談と日本 2
オバマ米大統領は今回の日米会談で「特別な同盟が生き返った」と喜んで見せた。何故米国にとって特別な同盟なのか。
どの国でも補給を重視するが(重視しなかったのは帝国陸軍だけのようだが)、米軍は、特に補給を重視する。かつてはソ連、
現在は中国と対峙する上で日本に代わる補給基地はアジアには無いだろう。物品の補給だけでなく、航空機や艦艇、車両の整備には
高度な工業力が必要だが、それをアジアで提供できるのは日本だけだ。鳩山首相の下で米国にとって日本の信頼性が低下し、
管首相の下でもそれは改善されなかった。オバマ大統領の発言には通常リップ・サービスが多いように思えるが、
米国が中国に対する軍事力を強化しようとしている現在、日本が信頼に値することが明確になったことは大切なことだろう。
日本にとってはどうなのか。日本の防衛は基本的に米国に依存している。核抑止は勿論だが、日本の防衛能力自体が偏っており
、更に武力行使の制限や専守防衛など自ら課している制約で動きが取れない。米国が危機に際してどれだけ日本を助けるか。
それは状況にもよる。しかしそれをより確実にするには、軍事における米国の日本依存が、基地や補給整備の後方だけでなく、
軍事行動の正面においても日本が分担することだと思う。そもそも他人事ではなく日本の防衛に関することなのだ。
動的防衛力はこれからの目標に過ぎない。それは米国は先刻ご承知だろう。そのような状態で米国との防衛協力に動的防衛力を
持ち出すのはどういうことなのか。更にマスコミなどが動的防衛力というのは、いかにも何かありそうで、無知による妄想を広げるだけ
のように見える。しかし行動において防衛協力を行うと思わせるだけでも、自民党の何もやれないスタイルよりましかもしれない。
また野田首相は、アセアン諸国の安全保障についても日本が協力すると言っている。それは大綱にも書かれているが、
その内容な何なのか。昨年はインフラ整備が約束された。安全保障面での協力とは、相手が期待するのはいざとなれば防衛に
協力することだ。しかし集団的自衛権の行使が制約している我が国でそれは不可能だ。
集団的自衛権の行使が出来ずにアセアン諸国の安全保障に協力するというのは、可笑しなことに見える。自民党が始めた
防衛についての多くの制約を取り外すのは、民主党という新しい政権で初めて出来ることだ。それをしないで言葉だけの協力は
金を出すだけの自民党流と実態は変わらないが、リップ・サービスだけでもそれに自ら制約されることもあるから、それに期待しよう。
集団的自衛権の行使制限だけでなく、自民党が始めた防衛に関する制約は憲法解釈が基礎になっている。既に度々述べてきたが
論理的な解釈とは思えない。民主党となって何故その解釈を変えることが出来ないのか。憲法改正は先延ばしの口実に過ぎない。
国際政治では実際に行使されなくとも軍事力の存在は決定的に重要だ。それを理解し、防衛に関する制約を外さなければ、
新しい国際情勢に対応は出来ないだろう。
以上